英会話な出来事
オーバーブッキング タフな彼女 ハイヒールの先生 一歩先行く彼
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【1歩先行く彼】
 小学校6年生の頃、ラジオから流れる曲の歌詞を必死に書き留めて覚えたり、友達から借りたテープをダブルデッキで ダビングして何回も一緒に歌ったり、それも少年隊や松田聖子や懐かしい〜。今思うと可愛いものだった。
 1クラスしかなかった小学校から、3校が集まって9クラスにもなるマンモス中学校に入学した。 もうそれはそれは本当に同じ市内の子供かと疑うくらい、体格が良かったり、話し方が生意気だったり、 制服の着こなしまでが何故か大人びて見え、自分が小さくなっているのが分かった。
 学校が始まり自転車通学にもようやく慣れてきたある日、チビチビで特に目立つ訳でもない私に 「俺とつきあってください」とある男の子が話しかけてきた。つつつ付き合うって何〜?というくらい幼かった私はもう恥ずかしくて、 どうしていいか分からず、しばらくはその彼から離れて、会わないように会わないようにしていた。 すると「じゃあ学校帰りだけでも一緒に帰ろう」とまたまた彼。方向がたまたま同じということもあり時々一緒に帰る事になった。 彼はモジモジしていた私の代わりにいろんな自分の事を話してくれた。 お兄ちゃんもお姉ちゃんもいる事、お母さんは離婚して頑張って育ててくれている事など。 そしてかっこいいな〜と思ったのは彼の話の中には私が今まで知らなかった言葉がたくさん入っていた事。 それらはすべてカタカナなんだけれど。「将来はポルシェに乗りたいんだ!」とか「お兄ちゃんの部屋からビリージョエルのCDを取ってきた!」 とか「お姉ちゃんはスチュワーデスになりたいからバイトして英会話教室に行ってる!その発音を俺も教えてもらっている」とか。
 今思うと夢の夢の話しだったり、半分作り話だったり、格好付けていたのかもしれないけれど、 私にはとても新鮮で貸してくれたテープが全て洋楽だったのは本当にカルチャーショックだった。
 彼とは別々の高校で、それから会う事もなく、早くに結婚して若いパパになったと人から聞いたけれど、 いつまでも私の中では一歩先を歩く大人びた彼のままです。
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